Chapter 5 1変数の集計

本章では、1変数の集計方法を説明する。

内容に入る前に、右上のプロジェクトのボックスの横が、前章で作成したプロジェクトの名前(たとえば、seminar_sociology_r)になっているかどうかを確認しておこう。なっていない場合は、右上のボックスをクリックして、「Open Project…」を選択し、前章で作成したRprojファイル(たとえば、seminar_sociology_r.Rprojといったような名前になっている)を選んで、プロジェクトを切り替えよう。

さらに、以下のパッケージを読み込んだ上で、第4章で作成したデータを読み込んでpiaacというデータフレームに入れていることを前提とする。具体的には、以下のコードを実行しておく必要がある。

library(tidyverse)

piaac <- read_rds("data/piaac_sample_analytic.rds")

5.1 連続変数を集計する

5.1.1 要約統計量の計算

さまざまな変数を集計するときに最も基本的なコードが、summarize()である。たとえば、piaacというデータフレームに含まれている変数wageの平均値を求めたいとする。このようなときには、次のように記述する。

piaac %>% 
  summarize(mean = mean(wage))
## # A tibble: 1 × 1
##    mean
##   <dbl>
## 1 1792.

この命令は、「piaacというデータフレームのなかに入っている変数を集計してね、具体的には、平均値を求めてね、ちなみにその平均値にはmeanという名前をつけてね」ということを意味している。

集計する変数(この場合はwage)にNAが含まれていると計算ができず、結果もNAとなってしまう。NAが含まれる変数の平均値を計算するときには、あらかじめwageがNAの行を除外しておくとよい。詳しくは前章のサンプルの選択を参照のこと。一時的にNAの行を除外して集計してみたい場合には、次のように書く。

piaac %>% 
  filter(is.na(wage) == FALSE) %>% 
  summarize(mean = mean(wage))
## # A tibble: 1 × 1
##    mean
##   <dbl>
## 1 1792.

平均値だけでなく、いろいろな統計量を計算できる。よく用いるものは以下のとおり。

関数 意味
mean(x) 平均値
sd(x) 標準偏差
max(x) 最大値
min(x) 最小値
quantile(x, 0.5) 分位数。0.5とした場合には50パーセンタイル点(中央値)を計算する。0(最小)から1(最大)まで任意の点を指定できる。
n() 行数を数える。

全部集計してみるとたとえば以下のような感じになる。

piaac %>% 
  summarize(mean = mean(wage),
            sd = sd(wage),
            max = max(wage),
            min = min(wage),
            p25 = quantile(wage, 0.25),
            p50 = quantile(wage, 0.5),
            p75 = quantile(wage, 0.75),
            n = n())
## # A tibble: 1 × 8
##    mean    sd   max   min   p25   p50   p75     n
##   <dbl> <dbl> <dbl> <dbl> <dbl> <dbl> <dbl> <int>
## 1 1792. 1191. 9634.  462.   950 1445. 2212.  2728

いくつかの変数について最小値、第1四分位点、中央値、平均値、第3四分位点、最大値をまとめて表示したい場合、これらを一つひとつやっていくのはとても煩雑である。このような場合には、統計量を計算したい変数だけをselect()で抽出し、そのうえで、summary()関数を使うとできる。たとえば、wage, age, healthの3つの変数についての統計量をまとめて見てみたい場合に次のようにする。

piaac %>% 
  select(wage, age, health) %>% 
  summary()
##       wage             age            health     
##  Min.   : 461.5   Min.   :25.00   Min.   :1.000  
##  1st Qu.: 950.0   1st Qu.:35.00   1st Qu.:2.000  
##  Median :1445.1   Median :43.00   Median :3.000  
##  Mean   :1792.4   Mean   :43.85   Mean   :3.046  
##  3rd Qu.:2212.2   3rd Qu.:53.00   3rd Qu.:4.000  
##  Max.   :9633.9   Max.   :64.00   Max.   :5.000

5.2 分布をみる

5.2.1 ヒストグラムとggplotの導入

連続変数の場合にはたんに平均値や中央値だけを見るだけでなく、分布を見ることも重要である。連続変数の分布をみるときには、ヒストグラムを使うのが有効である。コードの説明はさておき、まずはヒストグラムをみてみよう。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) + 
  geom_histogram()
## `stat_bin()` using `bins = 30`. Pick better value with
## `binwidth`.

このように、Rでグラフを作成したいときに活躍するのがggplot2である。ggplot2tidyverseパッケージを読み込むと合わせて読み込まれるため、別途library(ggplot2)で読み込む必要はない。

ggplot2の基本的な発想は、キャンバスに絵の具を重ね塗りしていくかのように、一つひとつ層を重ねていってグラフを作るというものである。具体的にみてみよう。先ほどのコードから3行目を削除した次の結果を確認してみよう。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) # wageをx軸として座標を描く

ggplot()という部分が、グラフを書くための準備をしている箇所である。aes()のなかでは、x軸やy軸にそれぞれ何の変数を取るのかであったり、どのような色で分けるのか(後述)などを指定する。今の場合であれば、x軸にwageをとる、ということを指している。上記の命令だけだと、このようにx軸のみが表示された空白の座標が準備される。

geom_histogram()というのが、ヒストグラムを書くためのコードである。先ほどのコードに、+でつないでgeom_histogram()というコードを追加すると、空白の座標にヒストグラムが描かれる。縦軸(count)は、その区間に何人の人が属しているかを示している。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) + # wageをx軸として座標を描いて、
  geom_histogram() # そこにヒストグラムを描く
## `stat_bin()` using `bins = 30`. Pick better value with
## `binwidth`.

geom_histogram()内でオプションを指定することで、ヒストグラムの見た目をさまざまに変更できる。たとえば、区間の区切りの個数(bins)を細かくしてみよう(デフォルトはbins = 30)。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) + 
  geom_histogram(bins = 100) # ヒストグラムの区切りの数を100に設定

以下、+でつないでいくことで、さらに層を重ねて、グラフの見た目をさまざまに変更できる。たとえば、x軸の範囲を指定するxlim()を使って、より見やすいグラフを作ってみよう。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) + 
  geom_histogram(bins = 100) + 
  xlim(0, 10000) # x軸の最小値を0、最大値を10000に設定

5.2.2 ggplotの設定(日本語関係)

ところで、Macでggplot2パッケージを使用し、グラフ中に日本語を使用する場合には、library(tidyverse)(またはlibrary(ggplot2))を実行したうえで、たとえば以下のようなコードをあらかじめ実行しておく必要がある。

theme_set(theme_grey(base_family = "HiraginoSans-W3"))

theme_set()関数はフォントのほかにいくつかの追加的な設定を行うことができる。 この資料で使用しているグラフについては以下のようにthemeを設定しています。

theme_set(theme_bw(
  base_family = "HiraginoSans-W3",
  base_size = 11, #文字の大きさを設定。デフォルトは11
  base_line_size = 0.2, #罫線の線の太さを設定。デフォルトはbase_size/22
  base_rect_size = 0.2 #外枠の線の太さを設定。デフォルトはbase_size/22
))

Windowsユーザの方は上記コードからbase_family =の行を除いたこちらのコードで同じような雰囲気になります:

theme_set(theme_bw(
  base_size = 11,
  base_line_size = 0.2,
  base_rect_size = 0.2
))

5.2.3 軸に名前をつける

上記の設定を終えて日本語問題をクリアしていれば(Windowsユーザならはじめからクリアしているのだけれども)、軸に名前をつけるコマンドlabs()をさらに追加して、日本語の名前を付けてよりわかりやすいグラフを作ることができる。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) + 
  geom_histogram(bins = 100) + 
  xlim(0, 10000) + 
  labs(x = "賃金", y = "度数")

5.3 カテゴリ変数を集計する

5.3.1 度数の確認

5.3.1.1 with(table())

カテゴリ変数の場合は平均値や標準偏差のような要約統計量を計算することはできない(意味がない)。最も基本的な集計は、各カテゴリにそれぞれ何人いるのかを確認することである。with(table())を使うことで各カテゴリの人数(度数)をみることができる。

piaac %>% 
  with(table(occupation))
## occupation
##               管理職               専門職     技術職・准専門職 
##                  219                  419                  439 
##             事務補助       サービス・販売             農林漁業 
##                  439                  576                   25 
##               技能工 設備・機械運転・組立             単純作業 
##                  265                  207                  139

度数だけでなく、各職業にどれくらいの割合の人が含まれているのかも重要である。先ほどのコマンドにprop.table()を加えることで、各カテゴリに含まれる人が全体に占める割合を計算できる。

piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table()
## occupation
##               管理職               専門職     技術職・准専門職 
##          0.080278592          0.153592375          0.160923754 
##             事務補助       サービス・販売             農林漁業 
##          0.160923754          0.211143695          0.009164223 
##               技能工 設備・機械運転・組立             単純作業 
##          0.097140762          0.075879765          0.050953079

小数点以下が多すぎて見にくいので、小数点第3位で丸めよう。先ほどのコマンドにround(digits = 3)を加えると、小数点第3位で丸めることができる。digitsのところの値が、小数点第○位の○の値に対応する。

piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table()  %>% 
  round(3)
## occupation
##               管理職               専門職     技術職・准専門職 
##                0.080                0.154                0.161 
##             事務補助       サービス・販売             農林漁業 
##                0.161                0.211                0.009 
##               技能工 設備・機械運転・組立             単純作業 
##                0.097                0.076                0.051

この値はすべて足すと1になる。なので、この値を100倍すると百分率(%)としてよむことができる。

5.3.1.2 count()

このように度数を数える場合には、count()を使うのもよい。次のように集計したい変数を指定することで、各カテゴリの度数を数えることができる。

piaac %>% 
  count(occupation)
## # A tibble: 9 × 2
##   occupation               n
##   <fct>                <int>
## 1 管理職                 219
## 2 専門職                 419
## 3 技術職・准専門職       439
## 4 事務補助               439
## 5 サービス・販売         576
## 6 農林漁業                25
## 7 技能工                 265
## 8 設備・機械運転・組立   207
## 9 単純作業               139

先ほどと同様に、度数を数えるだけではなく、割合を計算するとより見やすいだろう。

piaac %>% 
  count(occupation) %>% 
  mutate(sum = sum(n)) %>% # すべての度数を合計した値を入れた列を作成する
  mutate(prop = n / sum) # 各職業の度数を合計で割った値を求める
## # A tibble: 9 × 4
##   occupation               n   sum    prop
##   <fct>                <int> <int>   <dbl>
## 1 管理職                 219  2728 0.0803 
## 2 専門職                 419  2728 0.154  
## 3 技術職・准専門職       439  2728 0.161  
## 4 事務補助               439  2728 0.161  
## 5 サービス・販売         576  2728 0.211  
## 6 農林漁業                25  2728 0.00916
## 7 技能工                 265  2728 0.0971 
## 8 設備・機械運転・組立   207  2728 0.0759 
## 9 単純作業               139  2728 0.0510

5.3.2 分布の可視化:棒グラフ

こうして集計した値を棒グラフにしすると見やすいかもしれない。このようなときにはどうすればよいだろう?先ほど紹介したwith(table())count()、それぞれを使った場合の棒グラフを見てみよう。

5.3.2.1 with(table())を使う場合

with(table())を使う場合には、集計表をas.data.frame()コマンドを使ってデータフレーム形式に変換する必要がある。

piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table() %>% 
  as.data.frame() # データフレーム形式に変換
##             occupation        Freq
## 1               管理職 0.080278592
## 2               専門職 0.153592375
## 3     技術職・准専門職 0.160923754
## 4             事務補助 0.160923754
## 5       サービス・販売 0.211143695
## 6             農林漁業 0.009164223
## 7               技能工 0.097140762
## 8 設備・機械運転・組立 0.075879765
## 9             単純作業 0.050953079

データフレーム形式に変換すると、このように、1行が1つの職業を表す形式へと変換できる。Freqという列には、先ほど計算した割合が入っている。これをggplot()に渡してやることで、棒グラフをつくることができる。

棒グラフを作るときのコマンドは、geom_col()である。

piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table() %>% 
  as.data.frame() %>% 
  ggplot(aes(x = occupation, y = Freq)) + # x軸をoccupation, y軸をFreqとして指定
  geom_col()

悪くないけれど、横軸のラベルがかぶってしまって、何を指しているのかいまいちわからなくなってしまっている。また、縦軸や横軸の名前は必ずしもわかりやすいものではないだろう。そこで、以下のようにコマンドを追加しよう。

piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table() %>% 
  as.data.frame() %>% 
  ggplot(aes(x = occupation, y = Freq)) + 
  geom_col() + 
  theme(axis.text.x = element_text(angle = 90, hjust = 1)) + # X軸を90度傾ける
  labs(x = "職業", y = "割合") # x軸とy軸に名前をつける

5.3.2.2 count()を使う場合

count()を使う場合には先ほどのようなデータフレーム形式への変換は必要なく、結果をそのままggplot()に渡してやるだけでよい。

piaac %>% 
  count(occupation) %>% 
  mutate(sum = sum(n)) %>% 
  mutate(prop = n / sum) %>% 
  ggplot(aes(x = occupation, y = prop)) + # x軸をoccupation, y軸をpropとして指定
  geom_col() + 
  theme(axis.text.x = element_text(angle = 90, hjust = 1)) + # X軸を90度傾ける
  labs(x = "職業", y = "割合") # x軸とy軸に名前をつける

図を作る場合には、どちらかというとこちらのほうがシンプルなやりかただろう。特に 第6章でクロス集計表の棒グラフを作る場合には、こちらのやりかたのほうがわかりやすくなる。

5.4 記述統計量の一覧表を作る

5.4.1 記述統計量の一覧表

論文などで分析に使用する変数の記述統計量の一覧表を示していることがよくある。このような表を作ることで、読む側にとっては変数の分布を確認でき、その後の結果も読みやすくなる。こうした一覧表を作るために非常に便利なパッケージがgtsummaryである。まずはこれを読み込もう。

library(gtsummary)

次の5つの変数の記述統計量の一覧表を作りたいとしよう。select()を使って、こららの変数だけを残したデータフレームを作成する。

列名 変数ラベル
gender カテゴリ(factor) 性別
age 連続(numeric) 年齢
educ カテゴリ(factor) 最終学歴
occupation カテゴリ(factor) 職業
wage 連続(numeric) 賃金
piaac_selected <- piaac %>% 
  select(gender, age, educ, occupation, wage)

この中には連続変数もカテゴリ変数もあり、またカテゴリの個数が2つのものもあればもっと多いものもあって複雑である。gtsummary::tbl_summary()は、変数の型がきちんとしていれば、それを読み取ってきれいな記述統計量の表を作ってくれる。

piaac_selected %>% 
  tbl_summary()
Characteristic N = 2,7281
gender
    女性 1,284 (47%)
    男性 1,444 (53%)
age 43 (35, 53)
educ
    中学 226 (8.3%)
    高校 948 (35%)
    短大高専 681 (25%)
    大学大学院 873 (32%)
occupation
    管理職 219 (8.0%)
    専門職 419 (15%)
    技術職・准専門職 439 (16%)
    事務補助 439 (16%)
    サービス・販売 576 (21%)
    農林漁業 25 (0.9%)
    技能工 265 (9.7%)
    設備・機械運転・組立 207 (7.6%)
    単純作業 139 (5.1%)
wage 1,445 (950, 2,212)
1 n (%); Median (IQR)

これでもすでにかなりきれいな表になっているが、以下の4点で修正をしてみよう。

  1. educやoccupationといった変数がそれぞれ何を示しているのか、自分以外の見る人にとってもわかるように日本語の名前をつけたい:label = list(x ~ "名前")
  2. 連続変数については中央値(50パーセンタイル点)、第1四分位数(25パーセンタイル点)、第3四分位数(75パーセンタイル点)が示されているが、それよりは、平均値と標準偏差を載せたい:statistic = list(all_continuous() ~ "{mean} ({sd})")
  3. 同じく、連続変数については、小数点以下の桁数(小数点第1位に)揃えたい:digits = all_continuous() ~ 1
  4. 左上のCharacteristicsというのがなんだか気になるので削除したい:tbl_crossのコマンドの後ろに%>%でつないでmodify_header(label ~ "")
piaac_selected %>% 
  tbl_summary(label = list(gender ~ "性別",
                           age ~ "年齢",
                           educ ~ "最終学歴",
                           occupation ~ "職業",
                           wage ~ "賃金"), #~の前には列名、後ろにはつけたい名前を""で囲んで入れ、,で一つずつ区切る
              statistic = list(all_continuous() ~ "{mean} ({sd})"), 
              digits = all_continuous() ~ 1) %>% #数値の部分が小数点第y位の部分の値
  modify_header(label ~ "") # ""の部分には好きな文字列を入れられる。何も入れなければ空欄になる
N = 2,7281
性別
    女性 1,284 (47%)
    男性 1,444 (53%)
年齢 43.8 (10.8)
最終学歴
    中学 226 (8.3%)
    高校 948 (35%)
    短大高専 681 (25%)
    大学大学院 873 (32%)
職業
    管理職 219 (8.0%)
    専門職 419 (15%)
    技術職・准専門職 439 (16%)
    事務補助 439 (16%)
    サービス・販売 576 (21%)
    農林漁業 25 (0.9%)
    技能工 265 (9.7%)
    設備・機械運転・組立 207 (7.6%)
    単純作業 139 (5.1%)
賃金 1,792.4 (1,191.0)
1 n (%); Mean (SD)

5.4.2 グループ別の記述統計量の一覧表

何らかの属性などでサンプルを分けて比較分析する場合には、属性ごとの記述統計量を示すとよい。これも、tbl_summary()のなかでby =というオプションを指定することで簡単に実行することができる。たとえば性別(gender)で分ける場合には、次のようにする。

piaac_selected %>% 
  tbl_summary(label = list(age ~ "年齢",
                           educ ~ "最終学歴",
                           occupation ~ "職業",
                           wage ~ "賃金"), #~の前には列名、後ろにはつけたい名前を""で囲んで入れ、,で一つずつ区切る
              by = gender, # 性別(gender)で分割
              statistic = list(all_continuous() ~ "{mean} ({sd})"), 
              digits = all_continuous() ~ 1) %>% 
  modify_header(label ~ "") 
女性, N = 1,2841 男性, N = 1,4441
年齢 44.0 (10.7) 43.7 (11.0)
最終学歴
    中学 94 (7.3%) 132 (9.1%)
    高校 466 (36%) 482 (33%)
    短大高専 466 (36%) 215 (15%)
    大学大学院 258 (20%) 615 (43%)
職業
    管理職 17 (1.3%) 202 (14%)
    専門職 206 (16%) 213 (15%)
    技術職・准専門職 143 (11%) 296 (20%)
    事務補助 324 (25%) 115 (8.0%)
    サービス・販売 397 (31%) 179 (12%)
    農林漁業 7 (0.5%) 18 (1.2%)
    技能工 62 (4.8%) 203 (14%)
    設備・機械運転・組立 33 (2.6%) 174 (12%)
    単純作業 95 (7.4%) 44 (3.0%)
賃金 1,339.1 (781.6) 2,195.5 (1,338.7)
1 Mean (SD); n (%)

5.5 結果をファイルに書き出す

5.5.1 結果を入れるためのフォルダを作る

上記ではいろいろなグラフを作ったり、要約統計量を計算するためのコマンドを紹介してきた。RStudio上で見る分にはこれで十分だが、実際にこれらを論文にまとめていく段階では、結果をwordに貼り付けたりする必要がある。ここではそうした方法を紹介する。

3章で、データを置くためのフォルダを作成しておくとよいということを紹介した。分析結果を保存しておくためのフォルダというのも別途あると整理整頓ができて便利である。ここでは、「results」という分析結果を保存しておくためのフォルダを作ろう。右クリックで「新規フォルダを作成」するか、以下のコードを実行する。

dir.create("results")

5.5.2 ggplotで作成した図を書き出す

ggplotで作成した図を保存する方法は以下のとおりである。日本語フォントを含んでいるかどうか、および、出力形式によってどのようなコマンドを実行するかが変わってくるので、注意が必要。

5.5.2.1 日本語フォントを含まない図の場合

日本語フォントを含まない(あらかじめtheme_set()で設定していない)場合についてみてみよう。例として、先ほど出したヒストグラムを再度表示する。

piaac %>% 
  ggplot(aes(x = wage)) + 
  geom_histogram() + 
  xlim(0, 10000)
## `stat_bin()` using `bins = 30`. Pick better value with
## `binwidth`.

図を保存するときの形式として、pdfファイルとpngファイルについて説明する。

  • pdfはベクター形式といわれていて、拡大しても画質が荒くならない。どんなに大きくしたり小さくしたりしてもつねにきれいなグラフが保持されるというメリットがあるが、Wordファイルに貼り付けられなかったりすることもある(たしかWindowsだとWordにpdfを貼り付けられない気がする?)。

  • pngはラスタ形式といわれていて、(写真みたいに)拡大すると画質が荒くなってしまう。ただ、よっぽど拡大しない限りはそれなりにきれいな図にすることができるので、これでも事足りる場面は多い。この方法は、WindowsでもMacでも実行できるはず。

書き出したい図が右下のplotのウィンドウに表示された状態で、以下のggsave()コマンドを使うと、保存することができる。

ggsave("results/histogram.pdf") # pdf形式
## Saving 7 x 5 in image
## `stat_bin()` using `bins = 30`. Pick better value with
## `binwidth`.
ggsave("results/histogram.png") # png形式
## Saving 7 x 5 in image
## `stat_bin()` using `bins = 30`. Pick better value with
## `binwidth`.

サイズをとくに指定しない場合には、plotの画面に表示されている縮尺で結果が保存される。これだと、表示している窓の大きさを変えるたびに出力結果が変わってしまうので、次のように幅と高さを指定するとよい。

ggsave("results/histogram.pdf", width = 5, height = 4)
## `stat_bin()` using `bins = 30`. Pick better value with
## `binwidth`.

なお、widthやheightの数値が小さいほど、図内の文字や棒グラフの棒、散布図の点は相対的に大きくなる。より複雑な図で、文字などの被りがないようにするためには、適宜、サイズの変更が必要である。

5.5.2.2 日本語フォントを含む図の場合

日本語フォントを含む図の場合には、上記の方法で保存すると文字が消えてしまうという問題が生じる。この場合は、以下の手順で図を保存する。

まず、次のように日本語フォントを含む図を作成してみよう。

piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table() %>% 
  as.data.frame() %>% 
  ggplot(aes(x = occupation, y = Freq)) + 
  geom_col() + 
  theme(axis.text.x = element_text(angle = 45, hjust = 1)) + # X軸を45度傾ける
  labs(x = "職業", y = "割合") # x軸とy軸に名前をつける

png形式の場合は今までと同じ方法で文字化けせずに保存できる。

ggsave("results/bar_graph.png", width = 5, height = 4) # png形式

一方で、pdfの場合にはひとくふう必要となる。まず、保存したいグラフをオブジェクト(ここではgとする)に入れてやる。

g <- piaac %>% 
  with(table(occupation)) %>% 
  prop.table() %>% 
  as.data.frame() %>% 
  ggplot(aes(x = occupation, y = Freq)) + 
  geom_col() + 
  theme(axis.text.x = element_text(angle = 45, hjust = 1)) + # X軸を45度傾ける
  labs(x = "職業", y = "割合") # x軸とy軸に名前をつける

そのうえで、Windowsの場合は以下のコマンド:

pdf(file = "results/bar_graph.pdf", family = "Japan1GothicBBB", width = 5, height = 4) 
g
dev.off() 

Macの場合は以下のコマンドで保存する:

quartz(file = "results/bar_graph.pdf", type = "pdf", family = "sans",  width = 5, height = 4) 
g
dev.off() 
## quartz_off_screen 
##                 2

これで無事、グラフが保存できた。

5.5.3 記述統計の一覧表をwordに書き出す

gtsummary::tbl_summary()で作成した記述統計の表はword形式で書き出すことができる。その際に用いるパッケージがflextableである。まずはこのパッケージを読み込んでおく。

library(flextable)

先ほど作成したグループ別の記述統計量の表をwordファイルに書き出したいときには、以下のように%>%演算子でつないで、as_flex_table() %>% save_as_docs(path = "xxx.docx")というコマンドを追加する。

piaac_selected %>% 
  tbl_summary(label = list(age ~ "年齢",
                           educ ~ "最終学歴",
                           occupation ~ "職業",
                           wage ~ "賃金"),
              statistic = list(all_continuous() ~ "{mean} ({sd})"),
              by = gender,
              digits = all_continuous() ~ 1) %>% 
  modify_header(label ~ "") %>% 
  as_flex_table() %>% 
  save_as_docx(path = "results/summary.docx")

5.6 tbl_summary()の注意点

この節では、gtsummary::tbl_summary()を使っていて起こりがちな問題への対処法について記す。

5.6.1 値が少ない連続変数はカテゴリ変数とみなして集計される

今回のデータには、1, 2, 3, 4, 5のいずれかの値をとり、値が大きいほど健康状態がよいことを示す変数healthが含まれている。この変数の記述統計量tbl_summary()で表示すると、連続変数(numeric)のはずなのになぜかカテゴリ変数のように表記されてしまう。

piaac %>% with(table(health))
## health
##    1    2    3    4    5 
##  122  572 1274  579  181
piaac_selected2 <- piaac %>% 
  select(gender, age, wage, health)
piaac_selected2 %>% 
  tbl_summary(statistic = list(all_continuous() ~ "{mean} ({sd})"))
Characteristic N = 2,7281
gender
    女性 1,284 (47%)
    男性 1,444 (53%)
age 44 (11)
wage 1,792 (1,191)
health
    1 122 (4.5%)
    2 572 (21%)
    3 1,274 (47%)
    4 579 (21%)
    5 181 (6.6%)
1 n (%); Mean (SD)

どうやらgtsummary::tbl_summary()はカテゴリ変数の値の種類が少ないと、連続変数ではなくカテゴリ変数のように集計するという親切(?)な機能があるようである。オプションとしてtype = list()で連続変数であることを記載することで、この親切を抑制することができる。

piaac_selected2 %>% 
  tbl_summary(statistic = list(all_continuous() ~ "{mean} ({sd})"),
              type = list(health ~ "continuous")) # すべての連続変数を強制的に連続変数として表記)
Characteristic N = 2,7281
gender
    女性 1,284 (47%)
    男性 1,444 (53%)
age 44 (11)
wage 1,792 (1,191)
health 3.05 (0.93)
1 n (%); Mean (SD)